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陰陽師って
陰陽師って、式(しき)神(のかみ)を使う呪術師というイメージが強いですが、なんのことはない、平安時代のお役人さまです。
現代でも、〇代目陰陽師の血筋などと名乗る「自称」霊能者がいますので要注意です。

陰陽寮という今でいう、旧科学技術省のような部署のお役人のような存在だったそうです。主な仕事は、暦の作成や天文や時刻を司ることでした。

彼ら陰陽師は、国家に天災などがおこると「六(ろく)壬式(じんちょく)占(せん)」という占いで天災などの禍(わざわい)の原因などをつきとめようとつとめました。

占いなんかで天災の原因なんかがわかるのかとか、現代人の目線で見ると突っ込みどころ満載ですが、「六壬式占」などは当時の最先端の中国伝来の「科学」ともいえるものでした。

六壬式占とは、「六壬」「遁甲」「雷公」「太一」という四種類の占いからなったそうです。
一説には「遁甲」と「雷公」は同じもので三種類とする説もありました。
 六壬式占で占った内容を六(ろく)壬(じん)勘(かん)文(ぶん)という書式にまとめて朝廷に報告しておりました。なんと安倍晴明の書いた六壬勘文も現存しております。
 今のお役人が、天災の被害状況などを、所定の決済伺書なんかで報告しているのと何ら変わりません。

 ちなみに、式神の名前に注目してください。「朱雀」だったり、「天后」だったりしますが、陰陽師の操るとされる式神は、六壬式占の式盤の虚(きょ)星(せい)の名前と一致します。
 著者の私見ですが、式神とは六壬式占の虚星を擬人化した精霊のことをいうのではないかと感じます。

 では、今の占い師や、霊能者で陰陽師を「自称」する方がおりますが、実は「六壬式占」すら知らず自称しているわけなのです。陰陽師を名乗る方で、奇門遁甲や四柱推命で占っている方がいますが、陰陽師を名乗るなら六壬式占です。

ですが、かの安倍晴明も六壬式占は苦手だったらしく、自著『占事略欠』では「六壬式占は苦手なので、年をとったら学びなおそう。」と回想していたくらいです。
安倍晴明は下級役人でしたが、後に陰陽寮から、現在の国税庁にあたる、主計寮に異動になり、従四位の位をもらい出世しました。

1870年(明治10年)12月9日に発布された天社(てんしゃ)禁止令(きんしれい)(陰陽寮廃止令)で、正式な陰陽師はいなくなります。

式神というと、本来「六壬式占」の虚星の擬人化した精霊であると書きましたが、『幻想法秘儀』という大宮司朗氏の書物には、六丁六甲の日に六甲壇を祀り、「玉女(ぎょくじょ)」を呼び出すという術を紹介しております。「玉女」とはユング心理学でいうアニマ(男性の中の女性原理)です。この技術は、中国は清代の『万霊帰宗』という本が元ネタです。

 『太乙金華宗旨』には「識神」といったものまででてきますがこれもアニマという男性の女性原理です。
《参考文献》
 ・『陰陽道』鈴木一聲/著(講談社)
 ・『陰陽道とは何か』戸矢学/著(PHP新書)
 ・『安倍晴明占事略决詳解』松岡秀達/著(岩田書院)
 ・『現代陰陽師入門』高橋圭也/著(朝日ソノラマ)